2019年10月9日水曜日

<終了しました>お薦め文~第79回定期演奏会に寄せて


                    二つのうら話
他人のそら似、ということが音楽の世界でもあります。今回神戸フィルが初めて取り上げるショパンのピアノ協奏曲の第1番の中にも、ほんの少しだけ、あれ?どこかで聞いたことが・・というフレーズがあります。かなり以前に流行った演歌の出だしのところによく似たメロディーが、ピアノの独奏が始まってしばらくすると聞こえてきます。気が付いた人は思わずニヤッとするに違いありません。
さぁ、皆さんもどんな演歌がどの辺りに隠れているか探してみませんか?

ドヴォルジャックという人は進取の気性に富んだ作曲家なのでしょうか。当時比較的新しく開発されたコールアングレというオーボエ属の楽器を積極的に使ってみようと考えていたようです。彼の有名な新世界交響曲ではその2楽章によくご存じのあの哀愁を帯びたメロディーはこの楽器で演奏させています。お陰でこの曲は大成功、その音色も併せて私たちの心を捉えて離しません。その同じ楽器を今回の第8番の交響曲の第1楽章の中にも使われています。このコールアングレを、ドヴォルジャックは後の大成功のための「お試し」としてこの第8番交響曲に使ったのかもしれません。
さぁ、どこに使われているか気が付かれたら儲けものです。しかもチラッとしか顔を出しませんよ。

朝比奈千足