場所:神戸文化ホール・大ホール
曲目:
ハイドン / 交響曲 第100番 ト長調「軍隊」
マーラー / 交響曲 第5番 嬰ハ短調
※15時40分頃より、ロビーコンサートがあります。
今回はマリンバなど打楽器のアンサンブルです。
入場料:一般前売 2500円 (当日3000円)
高校生以下前売 1000円(当日1000円)
※チラシをクリックすると大きな画像でご覧になれます。
<ハイドンの楽しさ>
あのベートーヴェンもお手本とした「交響曲」という音楽形式を完成させたのがハイドンです。彼はこの均整のとれた形式にいろいろな試みを重ねてなんと 104曲もの交響曲を書きました。その中には、聞くものの想像力をかきたたせるようなニックネームがついたものがたくさんあります。「びっくり」「時計」 などはその代表です。
このハイドンが亡くなって今年でちょうど200年になります。彼の偉業に思いを馳せながら、その100番目の交響曲を聴いていただきます。「軍隊」という 名前がついた由来は、当時ウイーンで流行していたトルコ風の軍隊行進曲を真似て、太鼓とシンバルとトライアングルを使ったからでしょう。これらの楽器は2 楽章と4楽章で賑やかに大活躍します。
<マーラーの運命?>
マーラーは10曲の交響曲を書きましたが、未完成の10曲目以外はどれも長大で難曲ばかりです。神戸フィルは今年創立30年を迎えるにあたって、その中でも難曲中の難曲、5番目の交響曲に挑戦します。
印象的なのは、曲の始まりに響く厳粛なファンファーレが「ジャジャジャジャーン」という音型です。ベートーヴェンの「運命」の始まりと似ているのです。同じ5番と言う番号がつく事からマーラーもすこし意識したのかなと、勝手に想像を逞しくしています。
曲が進むにしたがってその音楽は、内なる心の叫びのように激しくなります。そしてホルンが活躍する洒落たウイーン風の踊りの曲と、癒されるような弦楽器と ハープの響きに続いて、最終楽章では、明るい民謡風の主題が次第に盛り上がり、熱狂的な歓喜のうちにこの曲が閉じられます。
面白いのは、この曲の全体の構成が、ベートーヴェンの「闘争から歓喜へ」という音楽的想念とそっくりなところです。ただマーラーの場合、さらに色彩豊かで 複雑な構成なので、彼自身の世界にひたすら身をゆだね、あちこちに散りばめられた彼の美しいメロディーを無心で聴いていただきたいのです。
この曲にはニックネームは付いていませんが、「生きる歓び」というように名付けても良いかな、とひそかに思っています。
2009年4月26日
朝比奈千足 (神戸フィルハーモニック 音楽監督)