第55回定期演奏会
2007年10月27日(土)午後4時開演
(場所:神戸文化ホール・大ホール)
曲目:
グリーグ(没後100年):ペールギュント第1組曲、第2組曲
シベリウス(没後50年):交響曲第2番 ニ長調
入場料:一般前売2500円
高校生以下1000円
二つの感性
スカンジナビアの夏は夜9時ごろまでは昼間のように明るく、とても短い夜です。反対に冬は天気も不順で太陽を拝める日はほとんどなく、暗く寒い日と長い夜が続きます。
神戸フィルが今回取り上げる二人グリークとシベリウスは、そんな厳しい自然の中で生活をした作曲家です。はたして彼らの感性はどのように育くまれていったのでしょうか。
グリークは亡くなってから今年でちょうど100年になる、ノルウエーのベルゲンで生まれた作曲家です。彼はいつも生まれ故郷にはない明るく、温かい南ヨー ロッパに憧れていました。グリークの同郷人イプセンの書いた叙情詩劇「ペール・ギュント」は、夢や冒険と厳しい現実との葛藤などがブレンドされたメルヘン の世界ですが、グリークはこのお芝居にも南方諸国への憧憬をそのロマンチックな音楽の中で表現しています。
シベリウスは今から50年前に亡くなったフィンランドの作曲家です。意外にも我々とそんなに遠くない時代の人だったのです。彼はフィンランドの風土と歴史 を愛し続け、その作品はすべて彼の祖国そのものを表現していると言っていいでしょう。その厳しい自然でさえシベリウスの作曲意欲を掻き立てました。そして 彼の交響曲の中で使われる旋律と和音は、まるで霧にけむる深い森と湖を感じさせる清冽なものです。それはフィンランドの人々と同様私たちの心も揺さぶるこ とでしょう。
同じ北欧の2人の対照的な感性を、神戸フィルは丁寧に表現したいと考えています。どうかお楽しみ下さい。
朝比奈千足