2012年7月20日金曜日

第64回定期演奏会


第64回定期演奏会

第64回定期演奏会
   2012年 7月 7日(土)
   神戸文化ホール・大ホール

 
人間愛、祖国愛、そして望郷の心


久しぶりで超有名曲、ドヴォルザークの「新世界」の登場です。本当は「新世界より」と、「より」がついているのです。ドヴォルザークがアメリカ滞在中に触 れた黒人霊歌などから影響を受けたメロ
ディーが使われていますが、彼の、異国アメリカから祖 国チェコへの望郷の気持ちが込められた作品なので、「新世界より」とするのが正解でしょう。
第2楽章のコールアングレが奏でる、御存じ、あの旋律をご堪能ください。

チェコと同じ東欧の国、ハンガリーの音楽もお聴きいただきます。ハンガリーの民謡研究家コダーイが書いた作品です。「飛べ飛べ孔雀」という民謡のモチーフ を使った巧みな変奏曲です。この民謡は、抑圧されたハンガリー人が解放と自由を願う反抗の意味を込められています。コダーイはそのメロディーを使ってハン ガリーの民族意識を高揚させました。最近では吹奏楽でも盛んに演奏されているようです。

珍しく日本人の作曲家の作品を取り上げます。今年で亡くなってから30年になる関西を代表する作曲家大栗裕の代表作、「大阪俗謡による幻想曲」です。彼は 日本の、特に大阪の古い歌や、お祭りの囃子、あるいは声明などを使って、人間臭い人々の生活や心情を表現しました。この作品は、ハンガリーの代表的作曲家 になぞらえて、ヨーロッパでは「東洋のバルトーク」と絶賛されました。そう言えば日本人とハンガリー人は人種的に共通するものがあるそうです。
この作品もたくさんの吹奏楽団が演奏して全国的に有名になりました。

朝比奈千足